同人音楽感想雑記

同人音楽の感想をメインになにかを書き捨てていきます。雑食。

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MamyukkaさんのM3-2020春新譜「エトイリカの夜」。

夜の妖精たちと花の妖精たちの物語。我らが真夜中の王子の道征き――。

ということで今回は妖精たちをテーマにしたファンタジー、そして恋の物語。
最初に特設ページとジャケットを目にしたときにはダークな内容なのかなと想像していたのですが、いざ聞いてみれば主な背景として描かれるのはひっそりとした夜の森中であるものの、内容は美しい恋の物語で、詞を読みながら聞き入るうちに歎息してしまった。

(Mamyukkaなので)メロディーのよさや装飾、ボーカルトラックの多彩さ・巧みさは最早言うまでもないのですが、今作については、いつに増して歌詞の表現で唸るところが多かったのが印象的でした。

さて、一旦トラックリスト。
01 ネ・ミラティラ
02 エトイリカの夜
03 イトワミエ
04 君が泣く花園
05 夜と薔薇のピレカ
06 妖精たちの昔話
大きな構成としては2曲ごとに3分割されていて、夜の妖精サイドを描いた「ネ・ミラティラ」と「エトイリカの夜」。花の妖精サイドを描いた「イトワミエ」、「君が泣く花園」。両サイドを越境する「夜と薔薇のピレカ」「妖精たちの昔話」という感じ。

まずは夜の妖精サイド。ひっそりとした森の中、粛々と歩み進める真夜中の王子とその隊列。その情景や随伴する臣下達が丁寧に描写されているおかげで入り込め方が凄い。あれは歌詞のない曲だけど「深海エレベーター」ぐらい没入できた…(超褒め言葉)。しかしめでたい婚礼へ向かう場面だというのに、密やかで不穏な感じを漂わせているのは夜の妖精としての特性なのか、それとも本来交わらないような花の姫君との結婚を果たす為には夜の一族から放逐されるような、その特質を失う故に先行きを心配するような気持ちが篭められているのか。

というか今回、造語がガッツリ使われているので解釈しきれないところがあるのだけど、「エトイリカ」≒「翅閉じ」は(多分)合ってるとして、さらに ≒「王子の名前もしくはその一呼称」ってことでいいのかなこれ。かなりざっくり妄想を働かせると、①夜の王子が花の姫君と恋をした ②結婚までをも考えたが種族(お互いの生きる世界(時間))の違いというハードルを越えるのは難しく、代償(儀式的な)が必要だった ③それが「翅閉じ」であり、それを決心したことで王子そのものも「翅閉じ」≒「エトイリカ」と呼ばれるように、みたいな? そう読めば「翅閉じの夜」は儀式であって、「翅閉じの門出」は王子の門出の日であるという感じで読めるかなぁ、と。うーん、言ってること変かも…。

さて、気をとりなおして花の妖精サイド。花の姫君を取り巻く世界が最初に描かれます。昼日中に息づく花たちが日暮れとともに寝静まるものの、それは特別に恐れるようなことではなく、今度はヨルガオやイエライシャン、ジャスミンのような夜こそ花開き、香りを強くする花たちが周囲を取り巻く。(つまり、花の姫君って夜の王子と対称的な昼の世界の存在ではあるけれど、厳密には時間帯で活動を制限される存在ではないんですよね。あくまで"定め”。だからこそ王子側で物々しい決断が必要になるのではと。)

そして夜の森の中で(幼い頃の)王子と出会うわけですが、もうここの詞が美しすぎて…。
暗闇に金色の瞳が浮かぶ
どんな花よりも煌めいて
きょとんと見上げる顔の
涙を拭った
正直、夜の妖精だからってこの肌の黒さはちょっとやり過ぎなのではと思っていたりしたのですが、この幻想的で美しすぎる情景描写が生み出されたのならもう全てOK! という気持ちになりました。こんなの好きになるだろ。そしてそこから時を経た後の、恋を歌う詞もまたよくて ↓ 昼を象徴する花の姫君が、夜の王子にひだまりを感じるとかエモ過ぎる…。
太陽と共に起きては眠る花の定めに
背いてあなたに恋をした
背が伸びたあなたを見上げるその度
優しいひだまりを知るわ
ここに到るまで、着手時に想像していなかったほどにキーボードを叩いてしまったのですが、実は本作通して一番好きなのが5曲目「夜と薔薇のピレカ」です。最初歌詞を見ずに通して聞いたときの第一印象では「天体カタログ」を思い出すいい曲だなぁという感じで、それだけでも自分の中では最高評価に近かったんですが、改めて歌詞と装丁上の演出を踏まえると、そこを更に踏み越えるレベルで推せ過ぎる一曲となりました。一曲の中で主語に合わせて「花の妖精の書」と「夜の妖精の書」をまたがるような演出と、白と黒のコントラストの使い方が感動的に美しい。今回、他の曲もそうですが、ゆったりとした中でも体が動いてしまうようなキャッチーなメロディー(リズム?)が散りばめられていて、いやほんとMamyukkaって聴いてて飽きることがないよなと…。

しかし、ピレカってどういう言葉なんだろう。「ユウゲショウの朝食」では明らかに「ユウゲショウの“ピレカ”」って言ってるものの、タイトルに朝食を持ってくるわけない気がするから、もっと広く「夜が明けた先の翌朝」的な概念だとは思うんだが。最後の最後、「二人だけの明日」は「二人だけの“~~ピレカ”」なんだよね。作中で使われている謎文字も多分、アルファベットや五十音の置き換えじゃない気がしていて、やはり未羽さんの造語設計レベルの高さゆえに妄想の余地がありすぎるよなと、一旦挫折…。妖精といえばケルト語圏な気がするものの、自分が詳しくないのでそれで読み解けるわけではない悲しみ。

実はまだ全然リッピングが済んでいません。

Synthetic Interstice by BandT『旧市街地北側
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 「Peach」に続いて手に取らせていただいた、Synthetic Interstice by BandTさんのM3-2020春新譜「旧市街地北側」。前作もよかったけど、今回の方が好みかも…。こちらのサークルさんはインストなんだけど、音が立体的というか、空間的な広さを感じて聞いてると没入感があってよい。あと、音がエロティック。2曲目「Rampart Street」は展開が凄く気持ちよくて、一曲の中で何曲も聞いているかのような感覚を覚える。一部を切り取って拡張して劇判とかで使ったらいいんじゃないかなぁ。3曲目「Neon Sign」もよい。Groovyでベースのエロさが…。そんで4曲目「Lumina noctem」。ちょっと菅野よう子のサントラ音楽的な存在感を捉えた。夜に寄り添うような音楽。夜の街、夜の郊外、夜の部屋…。

■demi内なる敵へ
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 demiさんのM3-2020春新譜。アンニュイさやメロディの美しさはこれまでのファンも納得の内容。相変わらず心の内側を探索していくような、音楽と歌詞ですね。今回面白いのが、表題作「内なる敵へ」がDark Side ViewとLight Side Viewの2種類収録されていること。歌詞は両方同じなのですが、演奏、演出がそれぞれ異なるので、かなり表情が違って見えます。1曲目のDark Sideは妖しく、暗く、うねるような音色。あと勇ましさというか戦意を感じる。曲の最後に暗がりを抜けたような解決がされて気持ちよい。2曲目のLight Sideは、さながら神の視点というか、天使の告知のようなイメージに。アレンジやボーカルの歌い方でこんなに変わるんだなぁと。 

■Endorfin.『Horizon Claire

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 Endorfin.さんの新譜。そしてなんと、あの傑作「Horizon Note」の続きを描く作品だと言う。そんなの期待しかないやん…。「Horizon Note」で出会い、なにこれ凄いやんと驚き、短絡的に藍月なくるさんの歌唱が素晴らしいのか?? と思いながら、次のM3ではなくるさんが参加した作品を手に取りまくった結論として、”Sky_delta × 藍月なくるのコンビが最高なのだと"実感したのが懐かしい。

 Endorfin.さんの纏う透明感や爽やかさ、空を突き抜けるようなイメージって、ほんとこの二人の化学反応なんだなと、今作Horizon Claire』を聞いて改めて確認しました。その感覚が一番強く得られたのが「floating outsider」。サビの気持ちよさが飛びぬけてる。4曲目、「innocent truth」はややノイジーなオケがボーカルの透明さを引き立ててこれもよき。これ、音ゲーの曲なんですね。自分は苦手なのであんまりやらないですが、これで叩けたら気持ちいいだろうなぁ…。チュウニズム、一回やってみるか。「Fatalism」はテクノ&サイバーでクールな一曲。曲の展開が楽しいし、終盤に向けての盛り上げ方が気持ちよすぎる。ラスト表題曲「Horizon Claire」、これもうはちゃめちゃに好き。手触りの綺麗さ、突き抜けるような晴天、Bメロ入るところの弾むような歌い方の可愛らしさ…。やっぱり”Sky_delta × 藍月なくる”が最適解なんやね。まぁこれを聞いて尚「Horizon Note」は不動の存在感を誇っているのだけど(最初の衝撃はそれほどに強い)、その間のどの作品も越えて、この「Horizon Claire」がその次につけたなと。必聴。

 ちなみに、自分は歌詞の内容はほとんど聞かないのですが、界隈を見渡していると、歌詞としてもこれまでの集大成となっているそうです。本当はそこまで含めて楽しめたら最高でしょうね。以下、いくつかご紹介。

 ■

 ■


色々前後してしまいましたが、まずは秋のまとめから。今更ではあるものの、整理はつけておきたいという。

[memo]
  • love solfegeさんを手に取ったのは少し久々な気が。「protomimesis」は一曲目の「protomimesis#14」から心を掴まれました。クラシックとポップのバランスの取り方が好みど真ん中過ぎて…。三曲目の「石塔のカルテシア」もよい。神秘的なコーラスから始まるケルティックな楽曲。ボーカルさんの特質なのか、ディレクションによるものなのか、もっと踊るような明るさも出せそうなのに、抑制が効いているのがなんか好き。
  • 大日本ティッケー軍「CLASSIC FUNKY PARTY」。Funkot × Classicはいいぞ。
  • Feuille-Morte(RD-Sounds)さんのところの4作品ゲキノウタファンタジアタビノウタワンダリア」、これを聞き逃していたというのだから罪深い…。コミケに参加しないとこういうことが多々起こってしまうんだよな。奇特にも自分のblogなんぞを覗きに来るような属性の方にはほぼ全員にオススメしたい。知らぬは自分ばかりなりということもありそうだけど。
  • 視聴一発で気に入ったアンスリウム東京「Tick Down」はストレートにかっちょいいガールズロック。ボーカルがちょっと可愛らしすぎるところは人を選ぶかもしれないとは思いつつ、気持ちよく腕上げられる一曲かと。ていうかなんかちょっとだけ岸田教団っぽい…?だから好きなのか。
  • Sugar Bunny* 「夢童話ロンリネス」。まめこさん主催側のこちらのサークルさんは、Mamyukkaと違ってマストで手に取るわけではないのだけど、今作は3曲とコンパクトながらそれぞれの曲の表情が豊かで、そして魅力的。かわいく、妖しい「せかいなんていらない」。鋭く、力強い「Forture vitrea est」。2曲目からの落差で腰が砕けそうになる「ChuKiss!して★おとこの娘」。ラス曲は流石のかたほとりさんというか、久々の本流電波を浴びましたね…。多分この影響で春もポヤッチオ作品を手に取ったというのがあると思う。
  • hana no oto 「2943」はとにかく1曲目の「■■None?%R?[?■」が白眉。スタイリッシュでアンニュイな名曲。前作「マイハートフルハーモニー」でhanaさんに入ったので、こういうのもいけるんだ…と驚きました。2020春新譜もセクシー&スタイリッシュ系でしたね。「2943」に比べると温度がやや高め。
  • 上でいくつかピックアップして取り上げたけど、もし2019秋で1枚だけ選べと言われたら(*balettaと)迷いつつもこれになるかも知れない…。lasahさんの「デッドエンド・アパートメント」。ノスタルジックに、静かに、複雑に展開される電子音。深水チエ(Kidlit (On Outscape))さんが好きならまず間違いなく好きだろうという音景。そこにlasahの擦れたような、掻き毟るようなボーカルが乗っかることで突き刺さり方が凄いことになってる。音が立体的で包まれたような気持ちにもなるのもまたよい。

□すごくよく聴いてる
wH-Label 「Landscape4Beats Ep.09
★Feuille-Morte 「ゲキノウタ
★Feuille-Morte 「ファンタジア
★Feuille-Morte 「タビノウタ
★Feuille-Morte 「ワンダリア
★アンスリウム東京 「1/2の世界の空/Tick Down
KalmeRi 「アラタヒラクノハ
★Sugar Bunny* 「夢童話ロンリネス
★hana no oto 「2943
フーリンキャットマーク 「サブカルティックアイドル
Psycho Filth Records 「Classical Of Psycho 2
鶏子 「STARTRK★DASH
鶏子「Cocatris
★lasah 「デッドエンド・アパートメント
Nanahira&mega「ななめが王国
★なないろらむね+ 「memento mori
★Nina Branch 「Ω-omega-
Cait Sith Music Studio「寓話集
★Hearty Smile Factory 「Key
Hearty Smile Factory 「Revalation

□よく聴いてる
★love solfege 「protomimesis
★大日本ティッケー軍「CLASSIC FUNKY PARTY
★Whitefists「Shadow Call EP
Junsei 「bastard
nyankobrq and yaca 「yea nay
★sakuzyo 「Creamy Room
Valvalo 「Che Gueva Radio
いぬよりねこは 「MÅNGATA
★Popism「Popism 2
Rigël Theatre 「La Flesvelka -Rewind of Memories-
★Sugar Bit「Affectus
★ないしょの音楽館「歌とピアノと子猫と写真
★locate 「あなたの痕跡(あと)
Metomate「夢みる少女と七つの終末
うたのは 「FUNE episode.1:貴方に望む、光あれと
★bararabi 「blink
夢乃ゆき 「one man show
★魚座とアシンメトリー 「梔子少女と雨の日の公園
★懐中幻燈舎 「宵闇町語り
★マヱムキロジック 「素粒子サアカス
★Nu・marsh 「溺惑
Imy 「Meteora
hana10 「polyme
★Garbera「灰の偶像/心音
★Diving Cat 「Cosmic Blue
★ABSOLUTE CASTAWAY「KIRMES
葉月ゆら 「夢幻妖夜行

□そこそこ聴いてる
Crescent Phantom 「Memorial Box For Kyoani
それとかげ 「Survival report 2
nyankobrq「Real Cat
demi「野薔薇
airy bird 「懐中時計の深音
★GoldFish 「せって70%」
桜仔猫* 「箱庭空創 - ファルナグルの航海で -
Fyrri Líf 「A Quest Promenade: Virgin Blade
にゃーろんず 「にゃーろんず入門3
★にゃーろんず 「Renaissance Love
Fluffy 「よるとあさのあいだ
Mamyukka 「Mamyukka Single Collection2
夜桜夜行 「ドリーム*コンチェルト
★夜桜夜行 「遊園地から贈る君への唄
待ちぼうけのフォノン 「ブルースフィア
幻覚アリア 「凍傷ヒステリア
嘘と虚無の木漏れ日 「To Animation-EP
ヲレンヂシグナル「Akisame
リトルノサミット 「白魔女と黒魔女のレゾンデートル
liqueurprime 「アウトチックロストサマー
はるきねる 「新世界へ
U-RASIA 「U-RASIA Autumn 2019 MIX
Tetra Edge / glow, after nightfall 「Tetra Edge / glow, after nightfall Split vol.1
SQARE Pixel 「Hello!TwinStars
 MistoriA 「UNDERWORLD
 Harmonie 「Scale
garnet 「Moldavite

参加します。
コロナウイルスで大変な状況ではありますが、正直普段の勤務状況を考えたら特別身を危険に晒すようなものではないと思っており、しかるべき対処を前提に一般の風邪(は言い過ぎかもしれませんが)同等に付き合うような感じで考えていたり。

ただ、それ以前の問題として過去になくバタバタしていて、今日までTwitterで流れて来る情報を自然体で受け止めるぐらいしか出来ておらず、前日(今日)になってようやくサークルリストをチェックし始められたような、そんなリサーチ状況だったり。やはり状況が更新されるにつれ、ご欠席を表明されるサークルさん増えてる感じですね。皆さん苦渋の決断だったとは思います。致し方ないことかと。

このタイミングでこれ注目してるよっていうのを公表しても、本来の趣旨を考えるとあんまり意味がないと思われるので、今回は結果報告って形にしようかな…。この状況をおして参加を決められたサークルの皆さんに、手に取らせていただきましたというのが伝わるような感じになれば、的な。思いあがりか。


  • ようやく始めました(遅い
  • いや、自分が世界で一番好きなLandreaallという漫画の個展やら各種イベントやらでの大阪遠征とかもありましてね(言い訳)。同人音楽関係なくここでもオススメしたいぐらい。もう古い漫画(連載中)ですが、まずは1~3巻だけでもお目通しいただければ…。何卒!
  • あぁ、もう前日ですね(2019/10/26 00:52)。そしてやはりこのタイミングでも増え続ける情報量。恒例のこととはいえ老体には堪えます(ぇ。
  • memo
続きを読む

前のエントリ、感想でもあるけどオススメしすぎでしたね。秋のM3が迫るような時期に入ったのもあって精神状態がそういう方面に向かいつつあるような気がします(さっさと書けばよかっただけ

しかし、ちゃんと言葉に、文字にしようと思うとなかなかしんどいもの。イベント直後は実際に書いてるものの3倍ぐらいは書ける気持ちでいるのに、書きたいやつほどまとまらずに手が止まるというジレンマ。

さて以下、いつものまとめです。恒例の文句ですが、そもそも手に取りたい作品を手に取っているわけなのでどれもおすすめです。その上で聞いたらなお良かった、これは比較的聞いちゃってるなー、って感覚です。これ買ってるやつがこれも買ってるんだなぁぐらいの感じでどぞどぞ。

[memo]
  • somunia さんが一曲参加されているということで試聴しぞっこんになったnyankobrq and yacaさんの「arbeit」。これはいい…とてもいいネットラップだ。ちなみにsomuniaさん参加の「twinkle night」なのだけどこれ是非Youtubeで聴いてほしい。M3が初出に近い作品とは思えない100万再生越え。ぶっちゃけ他で見ることが難しい拡散ぶり。今後もタッグを組む可能性があるようで本当に楽しみに過ぎる。
  • Wizardcraftさんの「FAIRY SORCIERE -妖精の魔術師-」。本作には他にはない凄みと圧力がある。そんでもってめためたに格好いい! 公式の紹介文では「クラシック・民族音楽と電子音楽を融合させた、怪しく、煌びやかな、魔術的・ゴシック音楽」とあるが、まさに聴けば納得の妖美な音像。これをBGMとした神ゲーをやってみたいという気持ちになる。
  • ぱっちりひつじさんの「ゆめにっき2」はこの機会に手に取れたのですがもう圧巻。「ナナシザメ」という曲、なんと14分という長尺。そしてそこに詰め込まれためくるめくドラマ。ゆめにっきというシリーズはその名のとおり実際に夢にみた内容を音楽に落とし込んだとコンセプトだったはずなのですが、それにしたってこれは壮大に過ぎる。てかこれ最高傑作と言ってもいいのでは???? さらに切なくて泣ける…。そんじょそこらのコンセプト物のCDは鼻息一つでダウンしてしまいそうな傑作です。各所で「みんなのうた」+「プログレメタル」と表現されるような特異性もあって、人によってはとっつきづらいサークルさんではあるのですが、このゆめにっき2については少しマイルドさがあって、一方でぱっちりひつじらしさはしっかり爆発してるので、もし完全未聴であれば本作から手に取るのもアリかもしれないです。
  • (ゆめにっき2 続き)上で取り上げた「ナナシザメ」という曲は本当に超大作で、一遍の物語のような楽曲なのですが、やはりぱっちりひつじさんと言えば「夢」がベースゆえの支離滅裂な世界観のものが個人的には好みです。その観点だと本作の白眉は「にぎゃにぎゃじゅむじゅむ」でしょう。これは日中の正気の脳味噌ではまず創造されないだろう怪作。“にぎゃ”と“じゅむ”を同じ数にしなければ、同じ力にしなければ…という正体不明の強迫観念が描かれている曲で、感覚的なものですが本当にすっごく夢っぽいなと。後半からの盛り上がりとか狂気的で最高です。
  • 春M3じゃない作品ばっかり語ってる気がしますが、FREEDOM CREATORS 「碧のCatastrophe」。あらまりさん×Unlucky Morpheusのタッグで生まれた、刺さる人には刺さる内容。詳細は割愛しますが是非同人音楽初心者様のこちらの記事を参照ください。もうとにかく一曲目の「囚われの僕ら」から凄い。何が凄いって郷愁感とでも呼ぶべき感覚ですね。これは紛うことなきサンホラ1期だ。実は自分はあんまり未練はなくて、狂信者のようにRoman以降なんて認めない勢じゃないのですがこれは感動モノでした。あらまりさんの持つ歌声・語りのキャラクターバリエーションだったり、語りのイントネーションだったり、もうこれすっごい…(語彙力
  • Rigël Theatreさんの「Lengsel -Ghosts of Memories- 2019 ver.」は新譜というか、過去作の強化リメイク版ですかね。ピックアップすると「RiET-959」はハマりました。いつものやり過ぎ壮大なアレンジにサイバーな音色が加わることで刺激的な曲に仕上がってる。お得意の民族感も爆発しつつ、スピード感もあって聞いててノリノリになれますね。Rigël Theatreさんは全般的に物語を感じさせる曲展開とかその魅せ方が上手い。大袈裟なのが嫌いな方以外にはおすすめしたいですね。ちょっと聴き疲れしちゃう時もある。

□すごくよく聴いてる
中村さんそ 「中村さんそにもう夢中
★雲収集業者 「隣人はA.I
にゃーろんず 「ズットチル
★なないろらむね+ 「a piece of pie
★sakuraCafe 「umbrella
★Release Hallucination 「Imperfection of Imaginary Number
★nyankobrq and yaca「arbeit
★MONGSHOOT RECORDS 「Donut Monster
mami と m@sumi「奇劇集
★Mamyukka 「絡繰町レコオド
inktrans 「Morph
hana no oto 「マイハートフルハーモニー
GLUE WAVES 「Fables
★夢乃ゆき 「マイルームコレクション
お月さま交響曲 「心傷アウトサイダー
オレオレウサギ「Drain ReD rain(梗 Remix)」
□よく聴いてる
★Lilfy 「Montlose
Laralastudio 「Laralastudio demo音源集001
★Kidlit (On Outscape) 「close to you
六弦アリス 「Nights of Lights
空想サラウンド 「あめのちはれ ときどきくもり
★ぱっちりひつじ 「ゆめにっき2
かずらなつ 「夏のまにまに
Synthetic Intersitce By BandT 「Peach
Seraph「Secret Garden
Rejection「THE END EP
Pulse Plum「回遊魚と深潭の燈火
ピコミール by NanosizeMir 「オール電波
Fyrri Líf「COSMOLOGY
★FREEDOM CREATORS 「碧のCatastrophe
★aeterne 「florere
Acua Piece 「Colours
葉月ゆら 「Mirage Dolls
★桜仔猫* 「箱庭空創 - アンティゴールの幕裏で -
さくらソルフェヰジュ 「しあわせなうちに、死にたい
★懐中幻燈舎 「満月夜咄
TEMPLIME 「alpha e.p.
★Sola「my little neverland
★めらみぽっぷ×nayuta 「Planet Traveler
Sennzai「Vocis Helix
pastelcriim 「Pastel Melody
Metomate 「彼岸のアルカディア
★Lilypha 「ほしぞら
Endorfin. 「LOST-IDEA
DiPathoS「Re:ave
Corolaska 「コムハルサ
autumn baguette 「魔想幻日記
★At the Garret 「Papier collé
Allopholine 「キオナルダ
airy bird 「私の時間
★OrbitArk 「Remember me

□そこそこ聴いてる
Magicaliny 「collections vol.1 KUWAGATA
鈴葉屋 「Noctice
ゆきほたる 「うたかたの声
プラムアンジュ「Nocturne
★ないしょの音楽館 「a new beginning
★それとかげ 「Survival report」
Xorsizer × Junsei 「Reverse ~聖なる罪咎の鎮魂歌~
UtAGe 「アタリマエへの叛逆
sonorous 「季節の花
SNOW SMILE 「SNOW SMILE Remixes 「DEEP SNOW」
Room97 「マイロジ
★MUSIRISCA 「FEAST -饗宴-
FlowLight 「あなたと描く物語Ⅰ -始まり-
MAKKORIDE 「まことりでの異世界酒場放浪記
amorphous 「深淵のユリイカ
A.O Sound Team 「グリュック
&Village 「Solid Sound StrikerS
WIZARD ODYSSEY 「蒼穹の果て
Wailing Aries 「Gleam
トピア 「よだかの空
Tonometer「Connect
SQARE Pixel 「Dear,Campanella
 Potwi 「不協和世界
 Paradise Eve 「桜姫アングーリア
 momo monaka「fleur bleue
 garnet 「aqua aura
 Ether 「レセプティア
 dawn-system 「Letters Dear TOKYO

やっと次回M3のカタログ入手できて一安心。同人音楽初心者様の記事で読んではいたので知ってましたが、いざ目の前にするとお値段5割増というのはなかなか思い切ったなと感じました。消費税と諸経費の増加が理由とのことですが、ここのところ参加者が増え続けている気もしたので、その調整もあるのかしらんとも想像してみたり。多少絞っても改定分で賄えると。ただ、イベントの理念的には広く遍くが本来のところだとは思うので、その辺をバランスするのは判断として難しいところでしょうね。結果は蓋を開けてみるまで分からないですが、もし今回の改定で参加者が減る気配がないのであれば、今後より広い会場に、みたいな移行プランもあるのかも。

Odd→Eye'S『誰かが落とした引っ掛かり
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 Odd→Eye'Sという大瀬良あいさん主催のサークル様のC95新譜。もう一年近く前と言えそうなタイミングでの所感ですが、手に入れたのが春のM3だったのでご容赦を笑 本作は主宰でもある大瀬良あいさんのボーカルと作品の世界設計がとにかく光って感じられた作品で、広く色んな人に聞いてもらいたい度がとても高いです。

 大瀬良あいさんの勇壮で力強いボーカルは自分が普段接している同人音楽の範囲ではあまり見かけないレベルで一聴の価値あり。ずばり例えてしまうと「angela」の「atsukoさん」っぽい。特にその傾向が強いのが4トラック目の「騎士が見た世界の瞬き」。この曲は最初流して聴いていたときに一番刺さった曲でもあるのですが、「angela」×「サンホラのメタル系楽曲」みたいな趣きがあって凄く自分好み。激しさと情緒的な展開が渾然一体となって疾走します。とにかく力強くて、拳を握りしめながら聴きたい、そんな曲。そのほかの楽曲も良くて、例えば続く5トラック目の「愛の砂時計、蒼の首飾り」はエスニックなメロディに乗る太いロングトーンが気持ちよい楽曲。(塚越さんの作曲なのですが、相変わらずボーカルに求める伸びがエグい…)あと2トラック目の「始まりの虹」。作曲は民族系の名手CorolascaのCororoさんなのですが、本家サークルさんでの楽曲はもっと線の細い繊細なイメージが強かったので、ボーカルが変わるとまた雰囲気が変わって面白いですね。

 作品世界については書くと長くなるのと、やっぱりまずは音楽でしょってことで、その辺は作品HPを見て気になったら是非是非という。ブックレット上には歌詞だけでなく楽曲を繋ぐ物語が掲載されていて読みごたえあります。

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 桜仔猫*さんのM3-2019春新譜。自分が手に取ったのは「Ricordi」に続いて2作目。「Ricordi」がジャケットどおりの明るい雰囲気で、そういう感じのサークルさんなんだと先入観をもって聴き始めたのもあって1曲目から4曲目に向けての落差でやられました。これはいいダークメルヘン。しかも(言い方は悪いですが)界隈にありがちなコンセプトCDとは一線を画すと言ってもよい力作かと(収録は4曲ですが内3曲が約7分の長尺で合計25分の大ボリューム)。途中がっつり朗読も台詞も入る作品なので、それがダメな人はちょっと厳しいかもしれませんが、全体の音楽的な流れを阻害するようなことがなく作られているので、公式のクロスフェードを聞いて興味を持った人は試す価値ありかなと。良質な音楽劇。

 1曲目「いつか夢見た真夜中の」。小鳥遊めぐみさんの歌声がメルヘンで童話的な世界観へマッチしてて素敵です。すごく丁寧に歌われる方だなぁ、と。幼子がステージ上で展開されるレビューにワクワクするような、そんな空気感が伝わってくる一曲。まさかここから、あんな愛憎劇に繋がっていくなんて想像だにしなかった…。続く楽曲には、めとさんやレマノルドさんが参加されている曲もあり、ご存知の方は楽しめる内容ですよ。
 小鳥遊めぐみさんは11月にお邪魔する「fleur*fleur 03」の演者のお一人なので、次回M3もちょっと注目はしたいなと思ってます。(イベントの参加自体は、*balettaさんの参戦で決定したのですけども)

■雲収集業者『隣人はA.I

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 雲収集業者さんのM3-2019春新譜。この独特なメロディと世界観、聴けばきっと虜になる。(ただ、本作は音楽的に洗練度が増していて、過去作に比べるとアクは減ってるかも)。

 あ、こんな音の動かし方するんだみたいなちょっとハズしたメロディの意外感とか、全体的には可愛らしい音楽なのに実は中身は結構ディストピア・退廃的・厭世的なところとか、最近のボーカロイドの方が感情実装してるんじゃないかってぐらいフラットなボーカルワークとか、自分の好きなところたくさん挙がるのだけど、とにかくまずは聴いて感じてみて欲しい。実は本作に収録されている作品、何曲かフルでYoutubeに上がっています。

 でも自分が一番気に入ったのはYoutubeに上がっていない3曲目の「ベルガモットカルガモットティータイム」。テンポの早いサンバのリズムが雲収集業者的にはちょっと珍しさもあるのとが、ベルガモットとカルガモの言葉遊びがリズム的にな心地よさと気の抜けた雰囲気を作り出していて、とても耳心地のよい可愛らしい一曲です。歌詞をちゃんと追うと、一抹の寂しさがあるのも実に雲収集業者さんらしい。

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■午前8時の地球脱走計画


■カラクリロボット


■Vtuberになりたい


■タイムマシンに乗って




あっという間に夏もすぎ、もう次のM3も見えてきてしまいましたねぇ…。
この間の音楽的なイベントでいうとamorphousのライブ(りでの蔵へようこそ)UNHAPPY BIRTHDAY TO ME !!37!!Yuki Kajiura LIVE TOUR vol.#15、へ参列しておりました。どれもとても満足感の高いLiveだった・・・。この先も、See-Sawのライブfleur*fleur 03ANIMAX MUSIX2019 あたりが控えているので、全て楽しんでいきたい。米津さんのは横浜公演にエントリーしてはみたものの、果たしてどうなるか。

demi『Strive After Nightmare
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 demiさんのM3-2019春新譜。まず目を惹くのがジャケットのイメチェン。これまでdemiさんの作品ジャケットを彩ってきた月星開理さんが離れられたとのこと。あの無機的且つ哲学的な雰囲気は、唯一無二性がとても高かったので少し残念な気もしますが、勿論背背さんの作られる、アンニュイで美しいメロディは全曲通して変わりがなく、今作もしっかり楽しめました。ちなみに、同音大陸という同人音楽サークルさんを集めた生配信によれば、今回のジャケットに描かれているのは、その中に教会を収めるランタン(にしてはかなりの禍々しさ笑)とのこと。これはこれで雰囲気ありますよね。

 表題曲『Strive After Nightmare』は裏で奏でられるパイプオルガンのせいなのか、音の密度が高くて混沌としており、自分程度の耳だと捉えきれない音があってやや気持ち悪さもあるのですが、ギターソロがその中を突き抜けるのは気持ちいいですね。全体の荘厳な雰囲気と、背背さんのメロディ、ボーカルの方の落ち着いた歌い口も合っている。後は、4曲目『疑惑の水脈』が凄く狭いポイントにヒットした。蒸留酒片手にチルアウトしたい。demiさんらしいような、これまでに意外となかったような曲な気がします。
D3Doj2oVAAAjJPt

 夢乃ゆきさんのM3-2019春新譜。表題曲の『マイルームコレクション』は、明るい&かわいい系ポップスとしては今季最高峰かもしれない。とにかくキャッチーさがえげつないですこれ。今後しばらく夢乃ゆきさんの代表曲になるんじゃないか。この曲の為だけに音源手に入れることもオススメできます。作曲のTOKOTOKOさんはボカロP出身で今プロか。同人らしからぬ安定感には納得。5曲目『永日』は、ふわふわキラキラしたシンセと、ドラマチックさを演出するストリングスでとても耳が気持ちいい。夢乃ゆきさんの少し切な目の歌い方が抜群にハマっている。んで、とにかくCメロ以降の展開のエモさがたまらない。永日とは、“日中がながく感じられる春の日。春の日なが。別れのあいさつや手紙の結びに用いる語”。6曲目『手の鳴る方へ』は一転してかっこいい夢乃ゆきさん。(結構色々歌い分けられる方ですねー。)前へ前へという推進力のある、自分としてはまさに好物のやつ。サビへの流れ、サビの盛り上がりがばっちりですね。これはライブで聞いてみたい。マイルームコレクションとあわせて2曲聴けたら幸せになれる。

■aeterne『florere

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 aeterneさんのM3-2019春新譜。aeterneさんは今回が初です。”花近さん”と”そらこさんの2人のボーカリストさんが核で、曲は他所から募集するタイプのサークルさんですね。普段自分は、所謂普通にいい曲だなぁってところには食指が動きづらい人間なのですが、本作については試聴サンプルの時点で他とオーラからして違ったのと、サンプルの3曲目(後日「車輪とライカ」と判明)が作品の幅を感じさせてくれたこともあって、思わず手にとったという経緯。

 さてこのflorereは、美麗さと存在感を兼ね備える素敵なジャケットを見てわかるとおり、花をテーマに、sasakure.UKなどのボカロPの方に曲制作を依頼したコンセプトアルバムとのこと。自分が初見で惹かれたサンプル曲は6曲目の『車輪とライカ』で、sasakure.UKさんの担当曲でした(なんと)。これはベースがリードするリズミカルな曲展開と、その中で時折差し込まれるメロディアスなピアノが心地よい1曲。作品全体を通してお洒落で大人っぽい空気に満ちているんだけど、この曲は特にそれが強い。曲のリズム感は壊さないのに、ふわりとその上に乗るそらこさんの歌声もとても素敵。

 その他の曲も全てレベルが安定して高く、あたたかみのある落ち着いた曲が揃っています。中でも気に入ったものをいくつか。まずは1曲目の「Little Snowflake@花近」。雪解けとその先を描いた、希望や世界の広がりを感じさせるような楽曲で、フルアルバムの開幕に相応しいです。作曲はryuryuさん。ボカロPとしては「びにゅP」名で活動されているようです。冬が好きで曲想にも表れているようなので、まさに得意分野の1曲って感じでしょうか。次は2曲目の「primrose@そらこ」。やや弾むようなメロディが耳に残ります。アンニュイさもあってか、少しだけinktransさん感あるかも。作曲・作詞ともにmamomo(まももP)さん。曲もよいのですが、この曲は詩がとても美しい。自分はを一切気にしないことも多いのですが、この曲は耳慣れない単語がいくつかあって、気になって確認したら秒で墜ちました。言葉選びのセンスと、それがちゃんと曲と合っているので複合的な感動がとても大きいです。

 5曲目「ディフェリア@花近&そらこ」。ジャンルだとエレクトロニカ、アンビエントかな。神秘的で揺蕩うような曲想ですごく心が落ち着きます。この曲は花近さんとそらこさんのツインボーカル曲ですが、ツイン系で自分の好きな絡み合うようなパートはない…。ないのですが、ハーモニーがとても綺麗。なんというか、聞いていると没入感があって、耳を傾けているとあっという間に曲が終わっている。手がけたボカロPはsea-noさん。初音ミクdarkを用いた透明感のある曲が多そうで、後で掘らねばという気持ち。さて、最後は8曲目「bloom@花近」。こちらは作曲・作詞も花近さんです(なんと!)。民族&カントリー調のギター弾き語りメインのとてもシンプルな1曲なのですが、これが本当にいい曲なんですよ。ゆったりとしていて、凄く耳に馴染む・・・。アルバムの〆に配置されるに相応しい作品です。おすすめ。

せっかくの長期連休だからというわけではないものの、いつもよりは快調に聴き進められている状況です。仕事に戻れる気がしないのがちょっとアレですが、とりあえず今のところは最高の気持ち。

w-m『リバーシブル』(ミニ『リバーシブル』ROCK版)
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 今回はあまり理由という理由なく、いつもより意識的に男性ボーカルものを手に取るようにしました。こちらはその中の一枚。w-mさんは所謂同人サークルさんではないシンガーソングライターさん。この「リバーシブル」も発売はM3合わせではなくて、タワレコとかでも発売がされているものなのですが、今回のM3では会場限定でアルバムから一部を切り出した「ROCK版」と「POP版」を用意されていて、試聴した感じROCK寄りの曲にピンと来たので、今回は「ROCK版」を手にとった次第ですが、これはちょっと予想以上…。

 概観としては無骨で真っ直ぐ、荒々しいボーカルが印象的。チバユウスケさんが好きなので、自分的にこれは結構刺さりましたね。正直予想以上の格好よさ。この「ROCK版」にピックアップされているのは「喪服を着て死んだ男」「逆さまの街」「光は暴落」の3曲ですが、中でも「喪服を着て死んだ男」は特にその感が強いし完全にキラーチューンでした。2:40ぐらいからの間奏部の荒ぶり方が最高すぎる。猪突猛進というか、前のめりな感覚に聴いていて凄く掻き立てられるものがある。ダウナーなんだけど暗くないというか…追い詰められたような、悲しさを吐き出すような…うう、表現が難しい。入手してらっしゃる方がどれだけいるか分からないですが、過去のM3で例えるならsyabagakidsさんの「Ice Cream」が好きな人とかは絶対合うと思うです。

Lilfy『Montlose
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 疾走ピアノロック――! Lilfyさんの幻想音楽祭で発表された準新譜です。Composerはピアノ曲に定評のある、Metomateのめとさん。めとさんのファンはこれは逃がしてはいけないと思います。足がけ2分足らずの短い曲が1曲入ったDLカードではありますが、疾走しまくりでドラマチックさが充溢していて素晴らしい。むしろそれが濃縮されて詰め込まれているので気持ちいい以外の感想ないですこれ。 

■Laralastudio『demo音源集001

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 前日の遅くまで情報が出てこなくても油断が出来ないのがLaralastudioさんなんだよなぁ…。さて、今回は初?のDEMO音源集でした。デモ系だと無配ってのが多いかなぁって印象の界隈の中で、あくまで価格が付いていたので、どんなもんかなと思いながら手にとりましたが(上でリンクを張っているサンクラの試聴が上がっていたことは後から気付いた。)、結構盛りだくさんで大満足。過去曲からは「PUZZLE by Improvisation Life」と「Parade of desperado by 留守番電話」の仮歌の入ったデモ版。未発表の「飛行船」は未完成版と2015年初期作曲時のデモの2種類、「恋する世界はあいまいだ by Improvisation Life」のoff vocalデモである「恋する世界はDEMOなんだ」の全五曲が収録。過去発表曲系はこれがあの完成版に繋がるのか…と思いが馳せられるのでファンアイテム的には是非手に入れて欲しいですねとは思うものの、今後入手する機会があるものなのかは正直謎です。

 さて、敢えて言及すべきは「飛行船」ですかね。Laralastudioさんらしい、届けたいんだろうなぁっていうフレーズが頭にこびり付くようなキャッチーさ。スッと気持ちよく言葉が入ってきます。曲調は聴いていてまさにタイトルを髣髴とさせるゆったりとした、伸びやかな一曲。しかしこれでもデモかぁ…。なんと言うか、曲として正式発表された後、アコースティックVerですとか言われても違和感がないんじゃないのっていう。あと、西風Sさんは勿論上手いしこの曲にも合ってるとは思うんだけど、曲自体がのんびりとした曲なので、竹之内さん自身が仮歌を当てている2015年版は好きですね。竹ノ内さんの優しい歌声が好きなのですが、この曲には特に合っていると思います。それはそれとして完成版、とても楽しみ。

■sakuraCafe『umbrella
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 inktransさんが必ず曲提供をされているサークルさんとして個人的にアツいsakuraCafeさんの三作目。今作は2曲中2曲とも作詞・作曲をinktransさんが手がけられていて、基本的には作曲者軸で作品を見がちな自分としては、実質inktransさんじゃんと試聴段階でかなり注目の一枚でした。

 聴いてみてもやはり、自分が愛するコロコロとした可愛らしいリズム感が最高に心地よい名盤。ただ、本作は雨の情景がテーマとなっているらしく一抹の寂しさがあります。白昼夢みたいな非現実的な儚さ。顕著なのは2曲目の「揺れる、揺れる」かな。ピアノの音色が切なくて、物悲しくて、でも陰鬱さがないのは陽桜里さんの柔らかな歌声によるものでしょうか。落ち着くようで、掻き毟られるようで。


  • 試聴が、思うように出来ていない。このままでは、かつてなく規定路線で当然に目に入るものだけを仕入れるイベントになってしまう。まぁ勿論、それだけで十分な量感だろうし、欲しいものを手に入れてるんだからよい買い物ではあるのだけど、自分にとって普段の趣味・守備範囲外にありそうなお宝の深堀なしに、M3に参加したとは言えないのだ…。と、改めてこの状況に置かれて認識しなおしました。頑張る。
  • 桃箱さんが活動辞められていて驚いた。ニコ動時代からって思うと、なかなか…。
  • ワタシはアルファベットの「K」辺りから新規探索と言う概念を捨て去った男。
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