始まりを告げる少女

NanosizeMirのM3-2014春新譜、「始まりを告げる少女」。待望の、3年ぶりのアルバムです!

期待以上にやってくれたな、という感じで本当に大満足。(まぁ、ここのところ過去作リメイクとか、予告版シングル的なのが続いていて、ちょっと熱が落ち着いていたというのもあるんですけれど)。やっぱりNanosizeMirは凄い! と思いました。ジャンルを複数股にかけて物凄くキャッチー且つ個性的なメロディを書く塚越さんと、それにまったく負けることのない、とにかく伸びのある情感たっぷりの歌唱をされる水谷さん。このお二人がどんな経緯で組むに至ったかは知りませんが、本当に奇跡的なタッグだと思います。誰に言えばいいのかも分かりませんが、とにかくありがとう、と言いたい。塚越さんは楽曲提供も結構されているので、そちらも色々追ってはいますが、NanosizeMirとしての作品をこうやって聞いちゃうと、もうずっとこっちに専念してくれ! と思ってしまいますね。

さて、トラックリストです。

Tr.01 Prelude    
Tr.02 ある時、ある世界    
Tr.03 いつもトモダチ -なかよしVersion    
Tr.04 のばらの小路で    
Tr.05 巣立ちの刻    
Tr.06 Tao,et Tullia    
Tr.07 星屑纏う方舟    
Tr.08 始まりを告げる少女    
Tr.09 物語の終わりに    
Tr.10 風の便    
Tr.11 Postludium

全体の構成的には明るい曲が前半、後半にかけてしっとりとそして壮大になっていきます。特にボーカル曲後ろ三曲の各曲終盤にかけての盛り上がりといったらまさに半端ではないです。捨て曲なんて一切ない(あ、そういえば今回は捨て曲ではないけど、ネタ感のある曲がなかったですね。「水谷瑠奈の憂鬱な一時」「ぱらぱっぱ現代」「心のアクマ」「NanosizeMirのレコーディング日和」あたりの曲もかなり好きだったのでそこはちょっと残念なポイントだったかも。CD構成的にメリハリが薄く感じられたのはそのせいかしら。物足りない方は、「ラップでわかる塚越の音楽論」で成分補給をしましょう)、ハイクオリティで隙のない一枚ではありますが、長々となってしまうのでかいつまんでいきます。

■Tr.02 ある時、ある世界
軽やかで気持ちのよい民俗調のイントロにさっそく心を掴まれます。人によってはつい小躍りをはじめてしまう危険性あり。続いて、リズミカルな曲調にのせて壮大に展開される水谷さんの明るく伸びやかな歌声。「小さなせかい」が好きな人には本当にたまらない曲なんじゃないでしょうか(私です^^)。まさに一曲目からクライマックスという趣で、この先に続く曲達に否応なく期待させられますね。あと、壮大といっても色々あるとは思うんですが、ここで言いたいのは(例えとして伝わるか微妙なところですが)ジブリ的な牧歌的な壮大さですね。底抜けに明るくて煌びやかな世界の始まりを感じさせてくれて本当に素晴らしい。

■Tr.03 いつもトモダチ-なかよしVersion-
蒼い障壁」に収録されていた曲のアレンジ違い。前作に比較するとバックが豪華に、賑やかに鳴っているなぁというのが一聴しての感想です。楽器が弦楽器中心の編成から、ジャジーな(というか金管ベースに)なものに入れ替えられているからそう感じるのでしょうか。ただ、それだけで受け取るイメージは随分違いますね。前作では誰か(一人)に対して語りかけるような曲という感じだったのですが、今作では、言わば「WAになっておどろう」みたいな、そんな感じ? 明るくてかわいらしくて素敵です。

■Tr.05 巣立ちの刻
リズミカルな曲が続く中挿入されるバラード。この辺から展開変わりますね。メロウなギター・ピアノと、並んで情感をかき立てる笛の音がマッチしてますね。バラードは個人的にそこまで好きじゃないのですが、それは歌唱はともかくとしても楽曲的に努力の見られない退屈な曲が多いからなので、こういう小技が効いていたり、構成に説得力のあるバラードは大歓迎ですね。タイトルにある「巣立ちの刻」に向け、今まさに、という感じが伝わってきて、ラストに向けた盛り上がりが心地よいです。

■Tr.06 Tao,et Tullia
こちらも「蒼い障壁」の収録曲。これも随分趣きが違っていますね…。こちらは変わったというよりは、強化されたという感じ。細かい差異を挙げてもきりがないので、総論になりますが、ミックスの按配が変わっていたり、歌唱が前に比べてメリハリやタメがあって、曲の神秘的な雰囲気が増されています。なんかの儀式のアニメーションとかにあわせてバックで流したらとんでもなく美麗な映像が出来上がる気がする…。というかこの曲を前提にそういう映像を作ってくれる人いないかしら。凄いの出来上がると思うんだけど。

■Tr.08 始まりを告げる少女
表題作。重めのケルティックな音色にのせて描かれる、ドラマティックな展開に思わず胸が熱く…。特に各サビと終盤の叙情的で壮大な展開が素晴らしい。こういうのもクサいって言っていいんですかね。とは言えここまでやり過ぎな盛り上げ方でもクドくないのはバランス感覚なんでしょうか。いや、ほんと素敵です。なんと言うか、時間見計らってこの曲を再生して、このラストを味わった直後ぐらいに出社したい。そうすればちょっとは仕事にパワーかけられるかもしれぬ。

という感じでとにかく万人にオススメしたい一枚であります。壮大って言葉何回使ったか分からないのですが、そこは私の語彙力のなさに起因するものですので、ご容赦をいただければと思います。でも本当にそう思ってるんだって!