Dolores

ロリィタノイロォゼさんのM3-2018春新譜「Dolores」です。

こちらのサークルさん、これまで買い続けていながらも、実はこれまでに一番喰らったのは2014年春にRibbon Citronさんから出た「シャルロット・キャトルのジョハリの窓」収録の「b」が最推しの楽曲だったりします。自分はM3でも全体でそこそこの音源を買っていますし、それ以外でも色々聞いていますが、その中でも、購入から何年もたった後もふとメロディが頭を想起する楽曲は多くはありません。「b」はその一つということで結構強烈に心に留めています。

そして本作「Dolores」は、その「b」にも負けず劣らず自分の中に印象深く残る一枚になりそうだということで、久々に単発で取り扱ってみたりした次第。さて、ロリィタノイロォゼさんはりみゆさんが主催されている(多分)個人のサークルさんで、基本的にはピアノの弾き語りとそこに載せる歌声・コーラスで構成されるかなりシンプルなサークルさんです。特長としてはとにかく耽美で美しい、詩的な世界観でしょうか。大体が残響感のある幻想的な空間音楽になっています。自分の主観としては今作では特に、ミックスの美しさだったり、アレンジ上の工夫が世界観の構築に寄与しているところが際立つな、という印象です。聴くシーンとしては、夜の散歩など本当におすすめいたします。ベストマッチ。

さて、トラックリスト。
01 名と声
02 Mercredi Gris in "Z"
03 noce -ノス-
04 Lost in admiration
05 名と声(no answer)
06 Mercredi Gris in "Z"(the ghost in the machine)
正直全体通して好きな曲ばかりでこれが、と言い辛かったりします。最近やってませんでしたが、あえて一曲ずつ(少しだけですが)取り上げてみます。

まず1曲目「名と声」。メロディと詩が渾然一体となった堪らない一曲。サビ(だと思われる)、『遺伝的アルゴリズムを~』から始る流れは「b」を彷彿とさせる、音階を駆け巡るような軽やかさがあります。また、この曲は5曲目に入っているメインボーカルを抜いた所謂カラオケ用トラックが素晴らしい。バックのコーラスと音声は残してあるのですが、それだけでも曲として成立してるなと思えるほどコーラスが重層的に張り巡らされていて、聞いていて飽きない、これだけでいっそ別の曲かのように感じる美しさがあります。

2曲目は「Mercredi Gris in "Z"」。Mercredi Grisはフランス語で「灰の水曜日」ということで、キリスト教圏では意味のある日らしいのですが、すみません、自分はほぼ意味が掴み取れません。この曲も1曲目に負けず劣らず、メロディ・バックコーラスが合わさった美しさが魅力ですが、特に、最後の一節でカットインしてくる男声コーラス。これが入ってから終盤のクライマックスまでが綺麗です。

3曲目は「noce-ノス-」。前2曲と比べると全体的に素直で、世界観としてもかなり甘く優しいもの。歌詞を読んでみると、まるで結婚式で相手への愛を語るような曲です。この曲、なぜか最後にパッヘルベルのカノンが流れるんですよね。なんか意味あるのだろうか。自分の理解力レベルではそこまで迫れない悲しみ。

4曲目は「Lost in admiration」。珍しく、英詩且つ、歌声とメロディに機械的な加工(ノイズ含む)が入っています。3曲目の「光」から打って変わって、切迫感や失われた(失われる?)相手へ想いが強調されるドラマチックな楽曲です。この曲は、サビ部の「Lost in」から始るフレーズがかなり印象的なんですけど、これがまた、和訳の歌詞と対照してみると、本当にじわじわと来るんですよね。English Translationと書いてあるので、元々は和訳側で作詞して英訳後に歌唱されたのだと思うのですが、だとすると、この英訳はとにかく美しすぎる。音楽のための英訳になっていて、本当に感動してしまいます。

前作であった、セルフライナーノーツがあれば、読んでみたい(本家に丸投げ)。しかしこれはよかった。