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遊女さんのM3-2013秋の新譜「シセン」です。
物憂げな感じのジャケットがたまりませんね。何事か訴えかけてくる感じ。何事か。
 視線とか、死線とか、私選とか。
 詞先とか。
本作は詞が先にあって、それに曲を後からつけたものというコンセプトの一枚とのこと。
いわゆるAメロがあってBメロがあってサビがあって、といういうような普通?の構成の曲がないのが新鮮ですね。だいたい詞自体が、元々曲をつけること想定してないだろみたいな曲の方が多いです。つけられている曲はシンプルで音の数が少ないのですが、そちらで主張しない分歌詞がスッと頭に入ってきます。もちろん、それは歌唱されている遊女さんの力が大きいのですが。アカペラでもいけるんじゃないかな、と思えるぐらいに歌声の表現力があって聞きごたえがあります。

1. 道の先に
2. その日
3. 懐かしき歌
4. 終わり
5. 月のくぼみ

白眉は2曲目「その日」と4曲目「終わり」です。どちらも一番と二番(便宜上)で同じ歌詞を繰り返す構成の曲なのですが、歌詞カード上だと一番が全てひらがなで書かれていて、二番が漢字を交えて書かれてます。この詞上におけるニュアンスの違いというのをきっちりと表現されていてそれがすごく良いなと思いました。言葉ってそれだけで意味を持っているものなのでしょうけど、音で伝わってくる時には意味が持たされているかそうでないかで全然感じ取り方が変わるものなのですね。

ジャケット、ディスク、中身と、全体ですごくまとまりのある一枚でした。こういうのは本当に満足度高いです。オススメ。